2011年9月27日火曜日

現代朗読協会・東北被災地ツアー報告(3)

広がる田園風景は、稲刈りがすんでいるところとすんでいないところが半々くらいでしょうか。
 私は北陸の米所の生まれですが、北陸は早場米がメインで、この時期には稲刈りはほとんど終わってしまっています。東北は稲刈りの時期が遅いようです。
 稲刈りが終わったあとに田んぼのなかに立ててある稲藁の束のことを、唐ひづるは「こなきじじい」と呼んでいるそうです。たしかにそのように見えないことはありません。これも地域によって形がいろいろです。
 唐ひづるは青森県の出身で、今回のメンバーのなかではただひとり、東北出身です。そういうわけで、彼女にはイベントでいろいろと活躍してもらいました。

宮城県にはいってから、早めの昼食を取ることになりました。11時すぎ、サービスエリアに入って、食堂で昼食。
 ここのメニューに「油麩丼」というものがあったので、私はそれを注文してみました。唐ひづるによれば、東北には油で揚げた油麩というものがあるのだそうです。それを親子丼のような玉子とじにしたものです。
 食べてみると、肉のはいってないすき焼きをご飯にぶっかけたようなもので、まあ悪くはない味です。
 一同8人でなごやかに昼食。

ふたたび東北道で北上。
 仙台をすぎてすぐに一般道へと降り、今度は南三陸町へと向かいます。
 ここまでは内陸を通るルートが多かったので、内陸から海へと向かう形です。海べりはほとんど通ってこなかったので、津波の被害にあった地域はまだ見ていませんでした。
 かなりの田舎道で、コンビニ一軒、ありません。食堂のようなものもほとんどなく、サービスエリアで早めの昼食を取ったのはこういう意味だったのか、というのもわかりました。
 そしていよいよ最初の目的地である南三陸町へと入っていきました。
 山道を抜けて扇状地へと出ていくと、川にそった道の両側に津波の被害を受けた地域がいきなり現れました。
 瓦礫があちこちに山と積まれていて、住宅があっただろう場所はほとんどさら地になっています。コンクリート枠の土台だけが残っています。
 津波が押し寄せてきて、家が根こそぎ流されていく南三陸町の高台から撮った映像を見たことがありますが、人々の驚きと悲鳴が耳によみがえってきました。
(つづく)