2011年9月6日火曜日

次世代作家養成塾:習作&講評「バイオリン」春海

物語の一瞬を切りとったような短編作品を、私は「スケッチ」といっています。
人生の一瞬、生活の一瞬、事件の一瞬、風景の一瞬。すぐれたスケッチを読んだあとには、大長編を読んだあとにも匹敵する残響が心に残ることがあります。
スケッチは文字通り、文章で描く一瞬の場面や風景のようなもので、それを効果的にするには極力説明をはぶき、描写のみで書ききりたいものです。説明がスケッチを台無しにすることは、いずれ機会をあらためて詳しく書きたいと思いますが、とにかく、書き手は描写と説明の違いを明確に知っておく必要があります。

この春海さんの作品は、説明がかなり少なく抑えられ、スケッチとしてあざやかなものになっています。
さらに磨きをかけるとしたら、ディテールです。
ほんのささいなディテールに神経を配るだけで、描写がさらに生き生きと立体化します。
たとえば、「私」が持っているバイオリンケース。ずっと続けていたんだから、きっとかなり使いこんでいるのでしょう。あるいは最近買いかえて新品かもしれません。いずれにしても、そんなアイテムに気を配るだけで、描写は生きてきます。
たとえば、同級生。どのような子なんでしょう。服装は? 背格好は? 髪型は? ひょっとして唇のわきに目立つほくろがあって、そのせいでなにかあだ名がついているかもしれません。
そういったことです。上記のことじゃなきゃだめ、ということではありませんよ。あくまで例です。

と、ここまでは技術的な話。

(以下、講評つづきと作品本体は養成塾のメールマガジンで掲載しています)

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