2011年10月3日月曜日

次世代作家養成塾はこうやって始まった

 昨日、現代朗読協会のメンバーで高尾山にハイキングに行き、その帰りに〈つるつる温泉〉に寄りました。
 そのとき、
「ちょうど一年前のこのつるつる温泉で始まった」
 という話が出て、私も思いだしました。
 風呂あがりにロビーでくつろいでいたとき、ふなっちこと船渡川広匡がなにか本を読んでいたのです。なんの本かと聞くと、芥川龍之介の短編集でした。
 そのとき、ちょうど現代朗読協会では「朗読とマジック」というライブを準備していて、芥川の「魔術」という作品をみんなで研究していました。あまりおもしろいとはいえない作品です。
 私はふなっちに、芥川より夏目漱石のほうに読むべき作品が多いことをいいました。どんな作品から読めばいいのかと聞かれたので、漱石をあまり読んだことのない人はどんな順番に読めばいいのか、野々宮卯妙らも参加していっしょに考えはじめたのです。
 そのとき、朗読だけでなく、文学作品を読み解く読書会のようなものはやれないか、という話になりました。そしてふなっちを「部長」として、現代朗読ゼミのブンガク部が発足したのです。

 月一回のペースでしたが、漱石の『三四郎』を読み解いていく部活が開催されるようになりました。
 部活では三四郎ゆかりの地を食べ歩きしたりと、楽しく活動していたんですが、一方でふなっちが小説を書いていることを知りました。なにか文学賞に応募しようと、100枚くらいのまとまった分量の小説を書いていたのです。
 私はそれを読んでみました。
 いまだからいえるのですが、当然その作品は文学賞のクオリティどころか、人に読ませるクオリティですらなかったのです。そこで私はいくつかのアドバイスをしました。ふなっちはそれを受けて書き直しをしてきました。作品のクオリティは格段にあがりました。が、まだまだ文学賞クオリティとはいえません。
 私はふなっちに個人的にテキストライティングについて時々アドバイスするようになりました。それが今年になってからのことです。
 私は1980年代後半からカルチャーセンターで小説講座・文章講座を持っていたり、ネット上でも「小説工房」という小説道場のようなものを主宰していましたが、いずれも「自己表現としてのテキストライティング」ではなく、文学賞を含む「外部評価を得るためのテキストライティング」のノウハウについての講座でした。実際そこからプロの作家やライターになった人がたくさんいます。が、私自身はその方法論にずっと違和感を覚えつづけていて、いつか人に教えることもやめてしまいました。
 それから20年余がたち、ふたたびふなっちにアドバイスするようになったとき、ふと、現代朗読でおこなっている「表現論」をそのままテキストライティングに応用できないか、と考えたのです。

(以下、略。本文全体は養成塾のメールマガジンで掲載しています)

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