2013年8月10日土曜日

リップノイズ対策と表現スキルアップの個人セッション

昨日の午前中は音声表現スキルアップの個人セッション。
声優の養成所に通っている若い女性だったが、これから声優で食べていくために自分の「売り」を打ちだし、あまたいる声優たちと差別化をはかり、なおかつ弱点をカバーしながらスキルアップをはかりたい、という切実なニーズをもって、2時間みっちり個人セッションをした。

まずおこなったのは、いま通っている養成所でどのようなトレーニングをしているのかのチェック。
養成所のトレーニングをチェックするのは、ときに問題のあるトレーニングを生徒に課していたり、またそのトレーニング法をうのみにして自分の成長をそこなってしまっている人があまりに多いことによる。
また、養成所のトレーニングは、ひとりひとりの表現者に丁寧に対応したものではなく、十把一絡げにした最大公約数的な大雑把なトレーニング法がまかり通っていることが多いからだ。

実際にやってもらいながら、チェック。
彼女のところでも問題のある、あるいは意味のない体育会的なトレーニング法がいくつかあった。
それらがなぜ問題があるか、なぜ無意味なのか、運動医学的な説明をくわえながら、効果的なトレーニング法について伝授する。
聞けば幼少のころに(個人情報なので種目は伏せるが)深層筋をしっかりさせるのに効果的な運動をずっとやっていたとのことで、声の仕事をつづけていくための資質は充分にあるようだった。
この点は好材料。

つづいてリップノイズ。
高性能のレコーダーで収録しながら、細かくチェック。
解決法がすぐにわかるノイズはいいのだが、原因不明のノイズがいくつか出ていた。
野々宮も同様のノイズを出していて、彼女にも加わってもらって原因究明。
なんとか原因を特定し、その対応策も見つけることができたが、今回はなかなかの難問であった。

そして表現力の向上について。
これについては私は一貫して自分の身体性にたいする意識を向上させること、その感受性の解像度をあげていくこと、という主張をしている。
そのためのトレーニング法や日常生活のなかでできることを伝える。
ようするに、自分の生活時間のすべてが表現のためにあり、また自分の全身の組織を総動員して音声表現を支える、ということだ。
これを試みるだけで、彼女が用意してきたサンプルボイスのためのナレーション原稿やキャラクターボイスの表現について、たちまちイキイキとしたオリジナリティが立ちあがってくる。

声優やナレーターの世界は競争が激しく、技術的にうまい人はゴロゴロいるし、できてあたりまえ。
そこから頭ひとつ、ふたつ抜きんでてきてはじめて、仕事が取れる世界だ。
どうやって人より抜きんでていけるのか、そこは真剣勝負となる。
私はそのための方法のいくつかを伝えることができるが、あとは彼女の心がまえと努力しだいであることはいうまでもない。

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