2014年11月12日水曜日

恒例の福井県立病院ピアノコンサート、終了

昨日は数か月ごとの恒例になった福井県立病院でのピアノコンサートだった。
最近は三か月に一回のペースで、約一時間の演奏を、病院のエントランスロビーにあるグランドピアノでおこなっている。

昨日は行ってみたら、ピアノを調律したばかりということで、素敵な響きである。
こういう公共機関のピアノの調律は、音楽ホールでないかぎり半年に一度とか一年に一度といったサイクルが決められていることが多いのだが、演奏者からすればコンサートの直前におこなってもらうのが理想だ。
げんに音楽ホールでのコンサートの場合は、毎回、調律がはいるのが普通だ。
しかし、一般の人にはなかなかそこまでする発想はないだろうし、また費用もかかるので難しい。

音楽コンサートの場合、ピアノの調律は、ピアノをまずステージに出し、ホールの温度や湿度になじんだ状態でおこなうことが多い。
たとえばコンサートの開演が午後7時の場合、午後になって照明や音響などの会場準備が始まるときにピアノもステージに出し、しばらく温度・湿度をなじませてから、たとえば午後3時か4時くらいに調律が始まる。
調律には2時間程度かかる。
いったん終了した調律を、開演直前にもう一度チェックして整えてから、実際の演奏にのぞむ、というのが通常の手順だ。
しかし、なかなかそこまで手をつくしてくれる主催者はないし、予算も大変になる。

私が弾くようなシチュエーションでは、わざわざ調律されることはまずないし、ときには数か月から一年以上も調律されていないようなピアノを弾くこともある。
ピアノの状態もまちまちで、よれよれのアップライトピアノもあれば、状態のいいフルコンサートもある。

福井県立病院のグランドピアノは、状態はまずまずで、今回は調律直後ということでありがたかったが、問題がひとつあって、リハーサルができないということだ。
病院のエントランスにどんと置いてあるので、事前に弾いて練習することができない。
練習というのは曲の練習をするということではなく、ピアノとこちらとのインターフェースをすりあわせて作りあげる作業である。
どんなピアノか、しばらく弾いてみて、タッチや音律をたしかめ、それによって演奏方法や曲の展開も変えることがある。
それができない、ということだ。
いきなり座って弾きはじめる、そのときはじめて、どんなピアノなのかわかる、という状況は、ピアニストならわかると思うがなかなか厳しいものがある。

そんなことはオーディエンスにはまったく関係のないことで、病院のエントランスをたまたま通りかかったらピアノのコンサートがあるというので、ちょっと聴いていってみるか、知ってる曲もあるそうだし、くらいのものだろう。
そういう状況で一時間、それなりに演奏し、オーディエンスとコミュニケートし、「また次回もよろしく」といってもらうというのは、相当にチャレンジングで勉強になることには違いない。

昨日もこれまでのように、日本の季節の唱歌をはじめ、スコットランド民謡とかオリジナル曲を交えて約一時間、たぶん10曲ばかりを演奏した。
私の場合は楽譜がないので、たとえば「旅愁」という曲を弾くとき、その曲がどのように展開していくのかは実際に演奏がはじまってみるまで自分自身にもわからない。
昨日も思いがけない展開が生まれて、けっこう楽しく演奏できた。
記録映像を撮っていたので、抜粋をYouTubeで公開するかもしれない。

福井県立病院での次回のコンサートは、2月9日におこなうことが決まった。
また、3月には都立広尾病院でもコンサートをやることになっている。