2015年3月23日月曜日

「沈黙[朗読X音楽]瞑想」をおこなったキッド・アイラック・ギャラリーについて


明大前〈キッド・アイラック・アート・ホール〉の3・4階ギャラリーに最近ピアノが設置され、さっそく「沈黙[朗読X音楽]瞑想」公演をおこなったことはこちらに書きました。

おこなう前からある程度はわかっていたことですが、じっさいに長時間、お客さんがはいっている状態でピアノを弾きこんでみて、ここが音響空間としてすぐれていることをあらためて確認できました。

ピアノは古いヤマハのアップライトですが、状態はよく、鳴りもよい。
弦を開放してどこかの一音をポーンと鳴らすと、その減衰がおどろくほど長い。
曲によってはそれが邪魔になることもあるでしょうが、私は即興演奏なので、その特徴を生かした音作りをすればよいのです。
そしてそれは「沈黙[朗読X音楽]瞑想」というコンセプトにはしっくり来るものです。
鍵盤のタッチにややばらつきはありますが、私のような即興演奏の者にとっては大きな問題ではありません。

そしてなにより、その空間。
ギャラリーは3階と4階をぶちぬいた吹き抜け構造になっていて、階段で行き来できるようになっています。
3階部分でピアノを鳴らすと、その音は3階のコンクリート打ちっ放しの壁面で反響するほか、4階へと吹きあがり、4階部分でも複雑な反響を起こします。
カテードラルのようなゆたかな残響があるので、平均律で調律されたピアノであまり音を重ねると、濁った響きになりがちです。
音を少なめに抑え、また音と音の間隔もしっかりと取りながら演奏すると、よい効果が生まれます。

今回の「沈黙[朗読X音楽]瞑想」では、無調のわざとぶつかり合う響きを作ったり、逆に音数を極端に少なくしてほとんど沈黙からゆっくりと始まるような音楽瞑想をおこなったりと、演奏者にとっては大変おもしろい試みができたんですが、オーディエンスのみなさんはどのように感じられたのでしょう。
いずれにしても、ピアニストにとっては非常に演奏の楽な、心地よい音響環境であるといえます。
楽しませていただきました。

ここでの公演は毎月おこなうことが決まっています。
来月4月は17日(金)夜に開催します。
よろしければ「沈黙[朗読X音楽]瞑想」を体験しにいらしてください。
詳細と申し込みはこちら