2015年7月7日火曜日

メンターの有用性とボイス・メンターについて

私が「メンター」という言葉をはじめて聞いたのは、音楽の話でのことだった。
あるジャズの有名なトランペッターは、すでに充分に世間に知られ、コンサートをすればホールはいっぱいになるし、経済的にも安定した状況になっても、定期的にニューヨークに飛んで自分の先生と会うのだ、という話だった。
しかも、先生といっても、相手はトランペッターではなく、つまりトランペットの指導を受けたり、演奏を聴いてもらったりするわけではない、というのだ。
では、なんのために行くかというと、演奏家としての自分の方向性を確認したり、メンタル面でのアドバイスをもらったりする、つまり「メンター」としての存在に会うためだ。

世界の有名企業のトップも、多くが「メンター」を持っていて、ことあるごとに相談したり、話を聴いてもらうことで、リーダーとしての自信や安定を保つことをしている。
政治学者のピーター・ドラッカーが多くの経営者のメンターをやっていたことは有名な話で、そのことが本にもなっている(A Year with Peter Drucker)。

ドラッカークラスのメンターを持つことは普通の人にはなかなかできないが、有名人でなくても時々話を聴いてもらったり、相談する相手がいるのは、とても助かることがある。
そういう人をメンターという。

私は長いあいだ、自分にはメンターがいなくて、なんでも自分ひとりでかんがえたり決めたり、勉強しなければならないと思っていた。
人に話を聴いてもらったり、相談することには苦手意識もあったし、勉強も独学のほうが性に合うと思ってもいた。
実際、いま仕事としている即興ピアノも、朗読演出も、ものを書くことも、先生についたり学校に行って習ったことはない。
しかし、最近、メンターがいることの有用性や安心をしみじみと知るようになった。

最近、何人かに自分自身の話を聴いてもらったり、アドバイスをもらう機会がつづけてあった。
その人たちが「メンター」という看板をかかげているわけではない。
それぞれコンサルタントだったり、コーチだったり、ファシリテーターだったり、仕事の名称はちがうが、いずれにしても対人援助職にはちがいない人たちだ。
彼らと話をして、気づいたことがいくつかある。

・評価をまじえずにだれかに共感的に話を聴いてもらえるのは、それだけで自分の安心があり、安定につながる。

・話を聴いてもらう相手が、かならずしも自分よりスキルが上だったり、人間的にすばらしくある必要はない。

・相手のスキルが自分より下だとしても、話すことによって気づくことはあるし、逆に自分では気づいていなかった自分のスキルの有用性をあらためて確認できることもある。

・メンターとの対話はキッチンのシンクをときどきピカピカに磨きあげるように、ある程度定期てきにおこなうと、すっきりして日々のパフォーマンスが向上していく。

ところで私もボイスコーチであり、共感的コミュニケーションの伝道者でもある。
人の話を聴くスキルについては自負がある。
私をメンターとしてくれる人がいるとうれしいなと思う。
とくに経営者、管理者、指導者、表現者といった人々だ。
きっとお役に立てるだろうと思う。
ボイスコーチなので、私はさながらボイス・メンターということになるかもしれない。

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