2015年11月13日金曜日

スープのさめない距離(アズワン探訪記その6)

昼食に「コミュニティハウス・えぐち」にお邪魔した。
コミュニティハウスと銘打っているが、普通の家である。
最近のいいかただと、「家開き」をしている江口さん宅、ということになる。

しかし、アズワンというコミュニティにとってえぐちハウスはとても重要な役割をになってきたことを知った。
まだ数十人でアズワンコミュニティがスタートしたとき、もちろんゲストハウスや研修所もない時期、あらたにアズワンのメンバーになろうという人や、アズワンを訪れた人は、このえぐちハウスに寝泊まりし、いっしょにご飯を食べて、学んでいった。

江口さんたちがおっしゃっていたことで印象的なのは、
「アズワンの初期からたくさんの人がここを訪れ、その人たちと触れ合ってこれたのが、私たちの財産です」

本当に普通の一般家屋なのだが、そこでの昼食のもてなしは暖かく、気が張ることがまったくなく、お腹一杯になった我々がちょっと横になって昼寝したり、だらだらしても、だれからもとがめだてされない安心感があって、ゆっくりとくつろがせてもらった。

その席に、市川さんが仕事の合間を作って来てくれた。
市川さんはアズワンに関わりながらも、ずっと企業に勤めていて、最近ようやくアズワンのメンバーに加わったという。
彼が東京世田谷の羽根木の家に最初に来たのは、アズワンのメンバーに加わったばかりのことだったらしい。

一般の人がアズワンに関わったり、躊躇したり、距離を置いたり近づいたり、そんなこころの動きがいろいろあることを教えてもらって、興味深かった。
そういう私も、いま躊躇なくアズワンの人たちに身を投じられるかというと、そこにはまだためらいやギャップがある。
鈴鹿のアズワンに身を投じたい気分も大きいが、いまいる東京でなにかやれないかとという気持ちのほうが、現時点では大きいような気がする。

江口ハウスは鈴鹿カルチャーステーションのすぐ裏手にある。
アズワンはメンバーに住む場所を強制していないが、なんとなく歩いて行ける距離内にみなさんが住んでいる感じがある。
鈴鹿市という行政区分の規模もちょうどいいのかもしれないが、なにかあればそれぞれが徒歩で駆けつけられる範囲に住んでいる、という感じ。

お互いの連絡や情報共有は、スマホのLINEで共有されているというひとを聞いてびっくりしたのだが、リアルな付き合いは歩いて行ける距離、スープのさめない距離にいることが、お互いの安心につながるのだろうと思う。
これを東京で実現させるとしたら、どんな風になるのだろうかと、しばし思いをめぐらせているところだ。
(つづく)